【製造業の業務効率化】生産管理システムとは? メリットや機能を紹介

執筆者
WORKSTYLE SHIFT 編集部

2021.05.10

【製造業の業務効率化】生産管理システムとは? メリットや機能を紹介業務効率化

製造業では仕入れから配送までの業務プロセスにさまざまな部門が関わっています。生産管理システムとは、部門ごとに区切られている業務プロセスや必要な情報を一元的に管理するものです。

業務プロセスや情報を一元管理することで、管理の効率も上がり、誤発注などのミスを防げます。また、スタッフが退職する際もノウハウや情報の引き継ぎが容易だということも導入するメリットです。

生産管理システムは、人材不足、技術継承といった製造業が抱えている課題を解決する方法として注目を集めています。

この記事では、生産管理システムのメリットや機能を詳しくご紹介します。

生産管理システムが求められる背景

日本工業規格(JIS)では、生産管理システムを「生産管理を系統的に行うために、生産に伴う現品、情報、原価(価値)の流れを統合的、かつ、総合的に管理するシステム」と定義しています。

生産管理が重要であるという考えは昔からありましたが、一元管理をするシステムは比較的新しい技術です。近年、生産管理システムの導入が拡大している背景には製造業が抱えている課題と想定される未来像が関わっています。

ここでは生産管理システムが求められる背景についてご紹介します。

生産年齢人口の減少と人手不足

日本では少子高齢化が進み、生産年齢人口の減少が続いています。中でも個人の技術に製品開発や業務効率が左右される製造業では、人手不足は業務の属人化、技術継承の観点で深刻な問題です。

人手不足を解消するには、業務の効率化が欠かせません。業務効率化を進める施策の1つが生産管理システムの導入です。

生産年齢人口を今後急速に増やすことは困難でしょう。限られたスタッフの中で成果を上げるには、システムによって業務にかかる労力を減らし、スタッフの生産性を上げることが重要なのです。

スマートファクトリーの実現に向けて

近年、日本に限らず世界各国の製造業で進められているスマートファクトリー。工場内の業務プロセスにIoT、AIといった先進テクノロジーを組み合わせることで、業務の効率化を進める取り組みです。

生産管理システムは、スマートファクトリーの中でも重要な役割を担います。生産管理システムを活用し、業務プロセスにおける情報収集を行うことで、精緻なデータをもとに生産負荷の平準化や生産性の低い作業の改善ができ、スタッフの人員配置などの対策を打てます。
そのため、着実な業務効率化や利益率の改善につなげられます。

また、次に投資する対象を決めるための判断材料にもなるため、スマートファクトリーを進める際の優先順位を決めやすくなるでしょう。

スマートファクトリーとは?生産性をあげる未来の工場

DXの実現に向けた業務効率化の基盤

テクノロジーやデジタル技術の発達によって、今までにないビジネスモデルやサービスが登場しています。テクノロジーやデジタル技術の導入によって企業のビジネスモデルや事業対象を根底から変化させることをDX(デジタルトランスフォーメーション)と呼び、製造業にもその波は押し寄せています。

ただしDXの実現は、工場の稼働や業務を止めることなく、新たなビジネスモデルやサービスを考案し実行する必要があるため、容易ではありません。

生産管理システムを活用した業務効率化・利益率の改善は、経営層やスタッフの余力を生み、新たな施策の注力につながります。そのため、生産管理システムの導入は、DXの実現に向けた基盤をつくる取り組みとなるのです。

また、利益率の向上によって新たな投資余力も生み出せます。業務効率化によって会社の基盤を整えることは新たな挑戦にもつながっていくのです。

生産管理システムの主な機能

生産管理システムは、主に6つの機能に分かれています。6つの機能すべてを連動させることで業務プロセス全体の効率化につながる仕組みです。

ここでは生産管理システムそれぞれの機能についてご紹介します。

計画管理

生産管理において心臓部とも言える生産計画の管理機能です。これまではExcelや手計算で行っていた生産量や生産時期の計画も、生産管理システムの導入によって直感的にできるようになり、計画管理のスピードが格段に上がります。

計画管理は受注生産、見込み生産どちらにも対応しているものが多く、スケジューリングも大まかな計画から細かい日程調整まで可能です。また、販売管理と連係させることで、適切な生産量の予測にも役立ちます。

生産管理

ここでの生産管理は製造ラインの管理を指し、工程管理や製造管理とほぼ同様の意味です。製造ラインの作業進捗や作業日報などを管理します。

製造ラインの作業進捗を一元管理することで、遅れている作業や修正が必要な部門を把握でき、製造ラインの修正や計画の微調整に役立つ機能です。

販売管理

見積もり、受注、出荷、請求、売り上げとお金の流れを管理する機能です。これらを一元管理することで、各書類を作成するスピードが上がるとともに、請求漏れなどのミスを防ぎます。

また、売り上げを生産計画や在庫管理と同じシステムで管理することで、適切な生産量・在庫量の推測にも活用できます。

在庫管理

完成した製品や原材料・部品・仕掛品の在庫を管理する機能です。適切な在庫管理を行うことで、在庫管理コストの圧縮、納期遅れ防止、製造ラインのスムーズな稼働につながります。

原価管理

製品にどれだけの原価がかかっているかを管理する機能です。製品の原価や仕入れる部品・素材の価格を管理します。

原価管理は利益率の改善とともに、見積もりの精度を高めることにもつながります。また、部品や素材の価格を見やすくすることで、新たな仕入れ先の開拓や選定にも役立つ機能です。

品質管理

製品の最終的な品質を管理する機能です。製品の品質基準をあらかじめシステムに入れておくことで、納品前の最終工程で基準を満たしているかをチェックできます。

生産管理システムの導入メリット

生産管理システムの導入は、製造業にとって大きなメリットがあります。ポイントは業務の効率化や改善へ影響を与える「システム管理」と「一元管理」です。

ここでは生産管理システム導入のメリットを具体的にご紹介します。

業務の効率化とリードタイムの短縮

生産管理システムの導入は、業務の効率化につながります。システムで管理することで、手計算や複数のファイルへの入力などが必要なくなり、管理部門・管理スタッフの労力を大きく削減できるでしょう。

また、製造ラインや在庫・受発注を適切に管理することで、リードタイムの短縮にもつながります。作業の効率化やミスの減少で製造ラインを効率よく稼働させられるからです。リードタイムの短縮は利益率の向上や顧客価値の向上につながり、会社全体の競争力もアップさせます。

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生産工程の可視化と一元管理

生産に関わる各部門を別々に管理していると、生産工程の全体像の把握が困難です。一方、生産管理システムは生産に関わる情報を一元管理するため、全体像の把握が容易になります。また、直感的にさまざまなデータを見ることができるため、問題点や調整すべきポイントも見つけやすくなります。

生産工程の可視化や一元管理は現状の改善になるだけではなく、次の投資のための判断材料にもなります。生産工程全体の中で、解決すべき課題の優先順位を決められるため、適切な投資が可能となるのです。

生産管理システムの導入ポイント

生産管理システムの導入は、会社全体に影響する大きな施策です。ポイントを押さえて導入を進めないと、無駄な投資になるだけではなく、社内に混乱をもたらす可能性もあります。

生産管理システムをきちんと活用するためにも、ポイントを押さえて適切な計画を立て導入しましょう。

導入の目的を明確化する

生産管理システムを導入するにあたって、目的を明確化することが重要です。生産管理システムの導入により、複数の課題を解決したい場合でも、解決すべき課題の優先順位は決めておきましょう。

導入の目的や解決すべき課題によって、システムに持たせる機能が変わります。どの機能の使いやすさや充実を求めるかで、選ぶシステムも変わるでしょう。拡張機能のあるシステムであれば、優先順位をもとに導入する機能の計画を立てる必要があります。

自社の生産方式に合わせた導入

生産方式や生産工程は会社ごとに違いがあります。生産管理システムは、自社の生産方式に合った製品を選ぶことが重要です。製品が合わず、別システムの導入が必要となっては余計なコストがかかります。

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セキュリティ

生産管理システムは、自社管理のサーバーで運用する「オンプレミス型」とサービス提供企業が管理しているサーバーで運用する「クラウド型」に分かれます。特にクラウド型のシステムを導入する際はセキュリティに注意しましょう。

生産管理システム自体のセキュリティ機能はもちろんですが、自社の体制を整備することも大事です。クラウド型の多くはID・パスワードでログインするので、その管理がずさんだと、情報漏えいの危険もあるからです。

そして、利便性とセキュリティのバランスを考えながらルールをつくることが重要です。また、万が一の際にリスクを軽減できるよう、権限管理やログ管理機能を持たせることも有効です。

タブレットを活用した生産管理システム

近年では、生産管理システムにタブレットを活用する企業が増えています。そのメリットは以下の2点です。

・管理しやすく利便性が高い
・直感的に使える

パソコンはある程度の大きさがあり、周辺機器も含めると置き場所となる一定のスペースが必要でした。しかし、タブレットは周辺機器も必要なく本体も小さいため、管理スペースを広くとる必要がありません。持ち運びも容易なため、部門間の行き来などもストレスなく行えるでしょう。

管理スペースの広さが必要ないため、スタッフが扱いやすい場所に配置できます。また、複数台のタブレットを用意し、さらに利便性を高めることも容易です。

さらに、タブレットであればタッチパネルで直感的に操作できるため、誰にでも使え、研修の手間も省くことができ、すぐに生産管理システムを活用できます。

まとめ

ここまで、生産管理システムの機能やメリット、導入のポイントをご紹介してきました。

今後、人手不足を見込み、スマートファクトリー化が進む製造業において、生産管理システムの導入はDXを進める重要なシステム基盤となります。自社の体制や課題を見直し、少しずつでもシステムの導入を進めてみてはいかがでしょうか。