ペーパーレス会議から始まる、業務の効率化と企業改革

執筆者
WORKSTYLE SHIFT 編集部

2019.01.21

ペーパーレス会議から始まる、業務の効率化と企業改革働き方改革

多様な働き方を個人が選択できるようにするための「働き方改革関連法案」が2019年4月に施行されるなど、仕事に対する取り組み方を抜本的に見直すことが全国的に求められています。長時間労働も問題となっており、時間や手間、コストの無駄を削減する効率化はどの企業も避けては通れません。今後、どの企業も優秀な人材が不足していくことが予想され、1人あたりの労働生産性を高めることが必要不可欠となっています。

そういった業務見直しの大きな一歩となるのが、紙の印刷物ではなく文書をデータで保存して活用する“ペーパーレス“です。ネット回線やタブレット端末の普及などが追い風となり、すでに多くの企業や自治体の事例があります。業務効率化やコスト削減といった、仕事への取り組み方を見直すきっかけとして、ペーパーレスを検討してみてはいかがでしょう。

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ペーパーレス普及への流れ

ペーパーレスの取り組みが進まなかった背景として、まず技術的な問題が挙げられます。以前は文書をデジタル化するスキャナーやデータを保存するストレージが高額で手間もかかり、ネット回線も広く普及していませんでした。また帳簿や申請書などを紙で保管することが国の制度で定められており、社会的に紙に印刷することが当たり前でした。

しかし、2010年以降にはインターネット環境も劇的に向上し、パソコンやスマートフォン、タブレット端末の普及に伴い通信機器の導入コストが大幅に削減されました。さらに2004年には「e-文書法」が制定されて、一部の文書を電子データとして保存できるよう、行政の後押しもありました。

ペーパーレスのメリット

ここでペーパーレスのメリットをいくつか紹介します。

印刷代・紙代・保管コストの削減

会議や提案資料など紙の印刷枚数は年間では相当な数になり、もちろん印刷代や紙代も大きくなります。ペーパーレスを進めれば、そのコストを直接的に削減可能です。また紙に印刷した場合は保管しておく場所も必要となりますが、そうしたスペースが必要なく有効活用できるのもメリットです。

必要な書類をすぐに見つけられる

資料をデータで保存して、クラウドサービスなどを利用することで、必要な情報の出し入れが非常にスピーディにできるようになります。また外出先でもパソコンはもちろん、タブレット端末やスマートフォンから必要に応じて情報を引き出せます。

情報漏えいのリスク軽減

重要な書類はシュレッダーにかけて廃棄するなど情報漏えいを防ぐ必要がありますが、ペーパーレスであればその手間がかかりません。データを扱う情報機器のセキュリティを高めておけば、外部に漏れるリスクを軽減することが可能です。

環境に優しい

ここ数年で減少傾向にありますが、依然として紙の国内需要は高く、毎日膨大な数の紙が印刷され、廃棄されています。生産に必要とされるエネルギーも大きく、ペーパーレスを進めることで環境に配慮した企業活動が可能となります。

このようなメリットからすでにペーパーレスを導入している事例が数多くあります。例えば、ヤフー株式会社では、従業員にノートパソコンやタブレット端末を配布。会議資料のパソコン閲覧やプロジェクター活用、業務のオンライン化を行い、印刷物を大幅に削減しています。

また自治体においても、静岡県焼津市の市役所では、ノートPCの替わりにタブレット端末を導入。ディスプレイやキーボードも組み合わせて活用することで、業務の効率化、印刷コストの削減を実現しました。同様に埼玉県のさいたま市役所など他の行政機関でもペーパーレスが進んでおり、今後も益々普及していくものと思われます。さらに総務省なども推し進める「テレワーク」など、時間や場所にとらわれない働き方にペーパーレスは必須です。働き方改革とペーパーレスは、密接に関連していると言えます。

参照:『企業としての義務と責任 気候変動・廃棄物対策』UPDATE JAPAN ヤフーのCSR
『全職員にタブレット型PC “焼津モデル”全国にPR 静岡』産経新聞
『ペーパーレス会議システムを導入します』さいたま市

ペーパーレスを実現するために必要なこと

ペーパーレス実現のためには

それでは実際にペーパーレスを進めるためには、どのようなことが必要なのでしょうか。大きく2つの点から説明します。

“紙ありき”のビジネスに対する意識の改革

ペーパーレスを導入するのにまず必要なのは、実際に業務を行う社員の理解です。たとえ多少コストがかかっても、これまで慣れているから紙の方がいいと感じる社員もいるかもしれません。しかし、ペーパーレスは会社全体で一丸となって取り組むことが必要であり、目的はペーパーレスではなく作業の効率化・コストの削減です。

同じ方向を向いて力を合わせて進むには、まず経営トップ層からの明確なメッセージが必要となります。例えば、最初に経営会議をペーパーレス化することで、その動きが社内に広まる第一歩となります。こうした紙ベースの業務に対する意識改革が行われなければ、いくら新しい通信機器やサービスを導入しても定着しません。大切なのは、会社の文化を変えるという強い意識でペーパーレスに臨むことです。

社内のICT環境の整備

紙に印刷せずに文書を共有・保管するには、まず社内の情報を電子化する必要があります。保存先としてはクラウドストレージ、NASなどが挙げられます。インターネットからアクセスができるため、会議で資料を素早く共有することができます。さらにこうした時間や場所の障害が取り除かれることで、オフィスから離れた場所で仕事を行うテレワークや、 モニターを使ったWEB会議がより円滑になります。

ペーパーレス導入でハードルとなるのがセキュリティ対策です。データで保存しておけば紙の書類と比べて保管や閲覧がスピーディにできる利点がありますが、ウィルス感染に対する対策は必須です。また、データの内容によって閲覧制限やダウンロード禁止などの社内ルールを整備する必要もあります。万が一、情報漏えいが起きた場合、紙と比較して拡散や複製が容易なため、被害が広がりやすくなります。書類の取り扱い自体に気をつけるのはもちろん、扱うバソコン機器のセキュリティもペーパーレスと合わせて見直しましょう。

このように考えると、ペーパーレスを進めるためには、やらなければならないことが多いと感じるかもしれません。もちろん全部を一度に変えることはできませんが、まずはできる範囲から始めてみてはいかがでしょう。紙の資料ではなくタブレット端末を活用したり、クラウドストレージを利用してアイデアメモを共有したり。初期投資はある程度かかるかもしれませんが、中長期的に見ればコスト削減によって回収できる可能性が高くあります。

ペーパーレスは会議から始めるのがベスト

ペーパーレスの会議

新しくペーパーレスを始めるなら、まずは社内でのみ取り扱う書類を電子化するのがおススメです。社内決済に関する稟議書や各種帳票などは比較的スムーズに移行できます。また効率化やコスト削減の効果を大きく感じやすいのが、ペーパーレスの会議です。紙の会議資料の印刷や配布、そして保管や廃棄には多くの手間がかかります。

ペーパーレスであれば事前に資料のデータをサーバーに入れておくだけで参加者への共有が効率的に行えますし、会議後の保管に手間がかかりません。紙に印刷すると多少なりともコストがかかりますが、デジタルファイルに置き換えていくと費用を大きく削減できます。

さらにモニターを活用した遠隔会議にもペーパーレスは最適です。資料を事前にクラウド上で共有していれば、場所が離れていても同じ資料で問題なく会議を進められます。これまで会議のために出張していた分のコスト削減はもちろん、移動時間が必要ない分だけより効率的に集中して業務を進められるのです。

ただ注意しておきたいのは、ペーパーレスを進める上でITツールの扱いに慣れが必要なこと。タブレット端末など、これまで使ったことのない社員からは戸惑いの声があるかもしれません。そうした不安を取り除くために、快適なペーパーレス環境を整えることが重要です。

たとえば、近年のタブレットやスマートフォンには、手書きメモや付箋といった紙の資料と同じような感覚で使える機能がついています。さらに大きなモニターを使用すれば一覧性も高く、抵抗感なくペーパーレスに移行できます。もちろんこうした環境を整えても、最初は時間がかかることもあるかもしれませんが、中長期的な視点で考えると、コスト削減や効率化に大きく影響します。企業全体でそれが当たり前になるまで、じっくり腰を据えた取り組みが必要です。

会議のペーパーレス化をスムーズに進めるために、便利なツールを活用していきましょう。最初に導入したいのが、タブレット端末や社内Wi-Fi環境、WEB会議システムの整備です。タブレット端末があれば資料を印刷せず自由に閲覧できますし、顧客への提案にも利用できます。また社内Wi-Fi環境が整っていれば、特定の会議室でなくても空いた場所を有効に使い会議を進められます。またプロジェクターや大型ディスプレイがあれば、大人数の会議にも対応可能。一度に全てを導入するのではなく段階的に進めていき、ツールの使い方に少しずつ慣れていきましょう。

まとめ

これから通信機器やIoTがさらに普及していけば、ますますペーパーレス化は加速していきます。そこには業務の効率化やコスト削減といった要素ではなく、時代に合わせた働き方の改革が大きく関わっています。大切なことは、単にペーパーレスを目的にするのではなく、その先にあるより働きやすい環境を目指して取り組むことです。そのためには、やはり社員が一丸となって、できるところから徐々に進めていくことが必要です。まずは、社内会議の資料からペーパーレスにしてはいかがでしょう。実際に試してみることで、これまで当たり前だった業務の見直しや改善にも繋がります。試行錯誤していきながら、長期的な企業改革として取り組みましょう。