デジタルサイネージの導入事例から学ぶ効果とメリット

執筆者
WORKSTYLE SHIFT 編集部

2019.01.23

デジタルサイネージの導入事例から学ぶ効果とメリット売上アップ

街を歩いていると、デジタルサイネージ(電子看板)を目にしないことはありません。駅構内、電車内、空港、バスなどの交通機関はもとより、小売店、百貨店、ショッピングモールなどの商業施設や、教育機関、医療機関、公共機関など、大小さまざまなデジタルサイネージが溢れています。

ハードウェアと情報通信技術の発展により、ポスターなどの紙媒体と比較して圧倒的な情報量と幅広い表現が可能なデジタルサイネージは、いまやマーケティング、広告だけでなく、情報伝達手段として多分野で利用されています。

デジタルサイネージの市場規模は、今後さらに拡大することが確実視されています。液晶ディスプレイによる広告映像や電車内のディスプレイを目にすることが多いと思いますが、実際にはどのような事例や種類、効果を期待できるのでしょうか?

デジタルサイネージの概要や市場規模、事例を紹介していきたいと思います。

デジタルサイネージをわかりやすく説明

まずはデジタルサイネージの定義を説明しましょう。

“屋外・店頭・公共空間・交通機関など、あらゆる場所で、ディスプレイなどの電子的な表示機器を使って情報を発信するメディアを総称して「デジタルサイネージ」と呼ぶ”
「一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアム」のオフィシャルWEBサイトより引用

本稿では、この定義に則ってデジタルサイネージを広義に取り扱っていきます。

デジタルサイネージの市場規模は2020年までに約9000億円!?

デジタルサイネージの市場規模グラフ

<三菱総合研究所「2020年デジタルサイネージ市場規模の予測」>

上の図は、デジタルサイネージの市場規模を2020年まで予測したものです。規模が年々拡大していることがわかります。

冒頭でも説明しましたが、その大きな要因のひとつとして、技術革新によるデジタル革命を挙げることができるでしょう。日本政府も2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催までに「世界最高水準のICT大国」となることを掲げて、その動きに拍車をかけています。

さらに市場規模拡大の要因を分解すると、以下の3つを挙げることができます。

【デジタルサイネージの成長要因】
①小~中規模のデジタルサイネージの普及
②4K8Kの超高精細映像や大画面、AR・VRの導入・拡大
③家庭用・パーソナル市場の開拓

特にインターネットを活用したクラウド型デジタルサイネージがシェアを伸ばすでしょう。インターネットのおかげで、コンテンツを制作してしまえば、任意の時間帯に遠隔で複数地点に配信できるようになりました。また、より細微な表現も可能になったため、訴求力も格段に増しています。

さらにスマートフォンとの連携やAR・VR技術、プロジェクションマッピングなど、デジタルサイネージのポテンシャルは無限に広がっていきそうです。

一方でタブレットサイズの小型デジタルサイネージもシェアを伸ばしています。家電量販店や小売店でも各コーナーに小型のビジョンが設置されているのを見たことはないでしょうか? 膨大な商品があるなかで、省スペースで具体的に商品の魅力を伝えられる小型のデジタルサイネージは、小売店などで大きな効果を期待できます。

デジタルサイネージの種類と広告効果について

デジタルサイネージの種類と効果

デジタルサイネージ市場の可能性について言及してきましたが、次に具体的な種類やビジネスモデルの構造を紹介しましょう。

デジタルサイネージは大別すると4種類あります。それぞれ見ていきましょう。

【スタンドアローン型】
ネットワークには接続せず、USBメモリやSDカードなどの記録媒体からコンテンツ(動画や静止画など)を再生させるサイネージです。コストも安価で操作もシンプルなため、個人店などでは導入しやすくなっています。

【ローカルネットワーク型】
USBメモリやSDカードなどの物理的な記録媒体は、コンテンツの管理を1つひとつ手動で行わなければならないため、デジタルサイネージの設置数が増えると、管理コストもかさみます。しかし、ローカルネットワークを経由して配信できるデジタルサイネージであれば、パソコンから一括操作できるため、複数台での配信や管理が容易です。コストの面でも、端末の購入費以外かからないため、デジタルサイネージの数を少しだけ増やしたいと考えているケースに適しています。

【クラウド型】
クラウドサーバに接続されていて、遠隔で複数台のデジタルサイネージのコンテンツ内容を随時更新できるうえに、ローカル環境に存在しない外部コンテンツの配信も可能です。常に最適なコンテンツを、最適な時期に発信できるような体制、ロケーションが確保できると大きな効果を期待できます。電車やバスなどの交通機関や大規模商業施設、多店舗展開しているチェーン店などに向いています。

【インタラクティブ型】
タッチパネルやモーションセンサーなどの機能を搭載しているサイネージです。具体例として、本屋や大規模商業施設、観光地などで必要な事項を入力して情報の取得ができるタイプなどが挙げられます。発信側とユーザー側の双方向のコミュニケーションが可能なため、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、多言語対応のインタラクティブ型デジタルサイネージが増えることが予想されます。

デジタルサイネージの用途とロケーション

デジタルサイネージの用途とロケーション

では、次にデジタルサイネージの具体的な用途とロケーションを見ていきましょう。上図のように、用途は広告、販売促進などマーケティング面での活用から、情報表示、空間演出、緊急災害時の対応まで多岐にわたります。

デジタルサイネージの最大のメリットは、「一度に複数の人に情報を伝達できる」ことです。そのためにはデジタルサイネージをどこに設置するか?という「ロケーション」選びが非常に重要になります。

どんな情報を、誰に向けて、どのように発信するか?など、目的と課題によって、ロケーション選びは変わります。次に、どのような使い分けがされているのか、事例とともに紹介していきます。

デジタルサイネージの事例を紹介

デジタルサイネージの事例

①電車内のデジタルサイネージ~トレインチャンネルなど~
東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)が液晶ディスプレイを用いて提供しているデジタルサイネージが「トレインチャンネル」です。JR東日本によると、首都圏内の1日の利用者は推定で1,208万人。最も接触人数が多いロケーションのひとつです。東京地下鉄株式会社による「Tokyo Metro ビジョン」など、鉄道事業者のデジタルサイネージは加速度的に普及しています。

②屋外大型デジタルサイネージ
渋谷のスクランブル交差点に位置する「QFRONT」には、前面に大型街頭ビジョン「Q’s EYE」が設置されています。世界的にも有名なこのビジョンは、最大1,200インチの大型ビジョンとして使用することが可能。企業の広告はもちろんのこと、個人でメッセージを送ることもでき、多くの人に親しまれています。

③駅構内型デジタルサイネージ~J・ADビジョンなど~
J・ADビジョンは、首都圏を中心に全国の主要駅構内にネットワーク展開しているデジタルサイネージのサービスです。特徴は、駅構内の柱などに縦型に複数面設置されていて、同時に放映できること。特に品川駅には44面にも及ぶJ・ADビジョンが設置されています。複数面同時に放映することで、接触時間と認知率が大きく向上することが期待されています。

④店舗の屋外のスペース
商業施設内、商店街や繁華街などの立地では、店内誘導を目的としてスタンド型デジタルサイネージや壁面・ガラス面にディスプレイを設置するケースが見られます。路面店舗であれば業種を問わず有効です。また駅からの導線上に設置することでユーザーを誘導することも可能です。

大規模なイベントが開催される幕張メッセの最寄り駅、海浜幕張駅に隣接する「ショッピングセンター・プレナ幕張」は、屋外にデジタルサイネージを設置しています。イベント参加者だけでなく、ビジネスパーソンや学生の利用も多い駅に設置されているため、高い広告効果を発揮しています。

⑤商品の陳列スペース
百貨店やスーパーマーケット、量販店、ドラッグストア、ホームセンターなどで、多くの商品が陳列されている場合に、デジタルサイネージで積極的に来店者の注意を惹くのに有効です。ディスプレイは基本的にコンパクトなものになりますが、動画を使えば商品の魅力や詳細を伝えることができます。初期投資も比較的低く抑えることができるため、導入しやすいと言えるでしょう。

⑥おススメ・重点商品コーナー
⑤と似ていますが、店舗を持つ企業、特に複数店舗を展開しているケースで有効な手法となります。自社でおススメの商品をユーザーに直接訴求できるのは他の事例と同様ですが、デジタルサイネージの強みはコンテンツを一斉に送信したり、時間帯ごとに内容を変えたりできることです。おススメ商品が変わっても複数店舗同時に配信を変更することができ、セール情報など店舗ごとに訴求内容を変えることもできます。

⑦行政機関、病院などの案内・情報発信
行政機関や病院、クリニック、薬局などといった、待合室やロビーが必要な施設でもデジタルサイネージは効果的です。待ち時間に、施設側が伝えたい情報、例えば確定申告のお知らせやインフルエンザの予防などを効果的にアピールすることができます。

⑧オフィスサイネージ
オフィス内でのデジタルサイネージ活用も増えてきています。全社的な予定の共有を始めとした「「社内情報の周知」だけでなく、業務マニュアルや注意事項の掲載といった「現場向けの業務チェックと注意喚起」などにも利用可能です。デジタルサイネージの即時性や利便性、訴求力を活かして、災害発生時に緊急連絡を掲載したり、周知したい情報にあわせて時間や場所ごとにコンテンツを変更したりできます。

デジタルサイネージ導入のポイント

デジタルサイネージ 導入のポイント

では、最後にデジタルサイネージ導入のポイントをお伝えします。まずは、目的設定が必要です。その目的はデジタルサイネージでしか解決できないのか、という必然性を問わなければいけません。

デジタルサイネージは多くのユーザーに伝えたい情報を多様な表現手法で発信できるメリットがありますが、コンテンツ制作や効果検証、保守運用など検討すべき材料も多くあります。

デジタルサイネージの導入ステップと検討事項

しかし、市場規模の拡大に伴いサービスも多様に生まれてきています。前述の交通機関などを利用した大規模なものから自営業でも取り入れることのできるデジタルサイネージまで実にさまざまです。

ネットワークや技術の発展に伴い表現方法が多様化してきたデジタルサイネージは、大きな可能性を秘めています。一方で、専門知識がなくとも手軽に導入できる一気通貫のサービスも増えてきており、導入環境は整ってきています。

ユーザーとの接点を生み出すだけではなく、インタラクティブなコミュニケーションツールとして活用したい方は、デジタルサイネージの導入を検討してみてはいかがでしょうか。